コラム

サイバー攻撃だけが脅威ではない ― 内部不正という静かなリスク
企業における情報セキュリティ対策と聞くと、多くの方はまずサイバー攻撃や外部からの侵入対策を思い浮かべるのではないでしょうか。しかし、企業の内側に潜むリスク、つまり従業員や退職者、権限を持つユーザーによる「内部不正」による情報漏洩も無視できません。
外部からの脅威に比べると目立たないかもしれませんが、発生すると企業の信用や法的責任、取引先との信頼関係に大きな影響を及ぼす可能性があります。
あなたの組織は、内部不正という静かなリスクに対して十分な対策を講じているでしょうか。
本コラムでは、内部不正の実態と対策の重要性について考えていきます。
目次
1.日本企業のセキュリティ対策の偏り
日本企業の多くは、セキュリティ対策をサイバー攻撃や外部からの侵入に重点を置く傾向があります。ファイアウォールや侵入検知システム、アンチウイルスソフトの導入、外部からの不正アクセス防止など、外部攻撃対策は比較的進んでいると言えるでしょう。
一方で、内部不正への対策は十分とは言えないことがあります。たとえば、アクセス権限によりデータへのアクセスを制限していても、権限を持つ内部者からの情報漏洩を完全に防ぐことはできません。
また、ログを取得していても粒度が不十分であったり、取得したログを分析・活用できていない場合があります。内部不正は外部攻撃のように目立つ形で現れないため、優先度が低くなりがちです。その結果、内部不正によるリスクへの対応は、外部攻撃への対策に比べて後回しになってしまうケースも見られます。
このような偏りは、組織の情報漏洩対策やリスクマネジメントの観点から見ると見過ごせない課題です。外部攻撃と内部不正はどちらも企業にとって深刻な脅威であるため、両方に適切に目を向けることが求められます。
2.内部不正は企業にとって無視できないリスク
内部不正による情報漏洩とは、従業員や契約社員、退職者、権限を持つユーザーが意図的に情報を不正に持ち出したり改ざんしたりする行為を指します。具体例としては、退職前に大量の顧客データをダウンロードし外部に持ち出す、特定のプロジェクト情報を競合他社に漏洩する、権限を持つユーザーが必要以上のデータにアクセスし不正に利用するといったケースがあります。
内部不正の特徴として、発生しても表面化しにくい点が挙げられます。たとえば、内部監査が形式的に行われている場合には、発見が遅れる傾向があります。また、長年の信頼関係や「この人なら大丈夫」という心理が働く場合にも、監査の目が甘くなりがちです。このように、監査体制の不十分さや組織文化がリスクを見過ごす要因となる可能性があります。
内部不正は、発生件数が少ないからと安心できるものではなく、被害が出た際には企業に深刻なダメージを与える可能性があるため、外部からの攻撃と同等に重要視する必要があります。
3. IPAの情報セキュリティ10大脅威に見る内部不正の位置づけ
情報処理推進機構(IPA)が毎年公表する「情報セキュリティ10大脅威」では、内部不正による情報漏えいが10年連続で上位にランクインしています。具体例としては、従業員による個人情報や機密情報の持ち出し、退職者による不正アクセスなどがあります。こうした事例は長期にわたり、企業にとって無視できないリスクとして注目され続けています。
内部不正は発生の兆候を捉えにくく、影響が顕在化した際には、信用失墜や法的対応、取引先との信頼低下など、企業経営に直結する深刻な問題を引き起こします。外部の脅威だけでなく、内側の「気づきにくいリスク」にも同等の注意を払うことが求められます。

出典:個人情報保護委員会 情報セキュリティ10大脅威 2025
https://www.ipa.go.jp/security/10threats/10threats2025.html
4. 内部監査と組織文化の課題
内部監査は、コンプライアンスや内部統制の実効性を担保する重要な仕組みですが、形式的・後追いになりやすい点が課題です。たとえば、チェックリストや書類確認だけではリアルタイム性がなく、内部不正の発生を事前に防ぐことは困難です。
さらに、長年の信頼関係や人間関係による心理的バイアスが監査の目を甘くすることもあります。「この人なら大丈夫」という心理が働くことで、チェックが緩くなり、内部不正を見過ごす可能性があるのです。
こうした課題に対応するためには、内部監査の形式や頻度だけでなく、組織文化や運用体制にも目を向ける必要があります。
次章以降では、これらの課題に対応する具体的な運用方法や、組織全体でリスクに取り組む考え方を紹介します。
5. 内部不正対策は「疑うこと」ではなく「公正な環境をつくること」
内部不正対策は、従業員を疑うための仕組みではありません。重要なのは、組織全体の公正さを保ち、誰もが安心して働ける環境をつくることです。
たとえば、部署ごとに必要最小限の権限を付与したり、ログを取得して追跡可能な形で管理することは、従業員が自らの操作が組織内で把握されていることを認識できる仕組みの一例です。しかし、権限管理やログ取得だけでは完全とは言えません。誰が、どこで、何のデータに対して、どのような操作を行ったのかといった詳細なアクセスログを取得し、分析・監視することが、内部不正の抑止や組織の透明性向上につながります。
内部不正対策を「従業員を疑う取り組み」と誤解すると、組織内の信頼関係を損ない、逆にリスクを高める可能性があります。内部リスクに対して、公正かつ効果的な仕組みを整えることが、組織全体の安全性と信頼性の向上につながります。
6.データアクセスの可視化と追跡で防ぐ内部リスク
前章で述べたように、内部不正対策は単に従業員を疑う仕組みではなく、公正な環境を整えることが重要です。その一環として、データへのアクセスを「見える化」し、追跡可能な状態にすることは、内部リスクへの有効な対策となります。
アクセスログを取得するだけでなく、それを分析・監視可能な形で管理できる仕組みの導入により、異常な操作や不審なアクセスを早期に把握でき、内部不正の抑止や組織の透明性向上につなげることができます。
BlackBoxSuiteでは、詳細なアクセスログを取得・分析し、リスクを自動で検知し不審なアクセスがあった際にはアラートで通知します。また、ダッシュボード機能により、不審なアクセスやユーザーを一目で把握できる点も特長です。データの閲覧行為も含めて把握できるため、従業員は自らの操作が組織内で監視されていることを意識でき、心理的抑止効果も期待できます。
このように、BlackBoxSuiteは単なるログ記録にとどまらず、内部不正を抑止しながら組織全体の透明性と公正性を高める実践的な仕組みとして機能します。
BlackBoxSuiteでは、アクセスログの取得・監視により、
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7.まとめ
内部不正は、外部からのサイバー攻撃の陰に隠れやすいものの、企業に深刻な影響を及ぼし得る重要なリスクです。日本企業では外部攻撃対策に偏りが見られ、内部対策は十分に整備されていないケースもあります。しかし、IPAの10大脅威における継続的なランクインが示すように、内部不正による情報漏洩は長年にわたり企業が向き合うべき課題として存在し続けています。
また、内部監査が形式的になりやすいことや、人間関係によるバイアスによって不正の兆候を見逃す可能性がある点も、組織運営上の大きなボトルネックとなります。こうした状況の中で求められるのは、従業員を疑うのではなく、組織全体が公正で透明性の高い環境を整え、誰もが安心して働ける仕組みを実現することです。
そのためには、次のような取り組みが有効です。
- 公正で透明性のある組織文化の浸透
内部不正を許さない方針の周知や、安心して不正を報告できる環境づくり。 - 運用体制の整備
部署ごとの権限管理やログ取得だけでなく、リスクに応じた監査対象の選定や異常操作の検知など、実効性のある運用プロセスの構築。 - データアクセスの可視化
誰が、いつ、どこで、何のデータにアクセスしたかを詳細に記録・分析し、不審なアクセスを早期に把握する体制。
これらを組み合わせることで、内部不正の早期発見や抑止が可能となり、組織全体の透明性と公正性を高めることができます。
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