はじめに──本当に”社員は大丈夫”ですか?

 「うちの社員に限って、情報漏洩なんてありえない」
このように考えていませんか?日本の企業文化は、長らく性善説に基づいて運営されてきました。信頼関係を重んじ、社員を“善良な存在”として扱う文化は、組織の結束や効率的な業務推進において確かに重要な役割を果たしてきました。

 しかし一方で、性善説に立脚した運用体制は、セキュリティという観点から見ると重大なリスクを孕んでいます。特に、情報漏洩や内部不正といった問題は、まさにその「信頼」が裏切られた瞬間に発生します。

 本コラムでは、性善説がもたらす情報セキュリティ上の課題と、企業が今すぐ取り組むべき「性悪説に基づくデータアクセス監視」の重要性について詳しく解説していきます。

 日本のビジネス文化は「信頼」によって成り立っています。契約やルールに厳しい欧米とは異なり、日本では「空気を読む」「和を乱さない」といった文化が強く、社員同士の関係性や組織内の秩序は、性善説に基づくものが多く見られます。

 そのため、企業のセキュリティ対策も、「社員が悪いことをするはずがない」という前提のもと、最小限のアクセス制御や監視しか行っていないケースが多いのです。特に、データアクセスやデータアクセスログの管理については、業務効率を優先するあまり、後回しにされがちです。

 しかし、性善説に基づいた運用は「性悪説の世界」である現実の脅威とは相容れないものです。

 性善説に基づく社会設計は、現実の不正や犯罪に対して無防備であることが、以下のような事件からも分かります。

2.1 無人餃子販売店での強盗事件

 無人販売という形式は「誰も悪いことはしないだろう」という性善説の象徴とも言えます。しかし、監視体制が甘いことを逆手に取った犯行が多発し、店舗側も大きな被害を受けました。

2.2 コンビニのコーヒーサイズ詐欺

 Mサイズの料金でLサイズのコーヒーを注ぐ行為は、金額的には小さくとも「ルールが緩いと悪用する人が現れる」ことを示しています。完全セルフサービスという信頼に甘えた構造が不正の温床になりました。

2.3 2024年東京都知事選でのポスター荒らし

 違法ではないが、ルールの抜け穴を突くようなポスター掲示の手法が横行しました。これも「きっと誰も悪用しないだろう」という性善説の甘さを突いた例です。

 これらの事件に共通するのは、「ルールがあっても徹底されていない」「監視されていない」「罰則が弱い」といった“管理不在”の状況が不正の機会を提供してしまっている点です。

 犯罪心理学において、不正が発生する条件として以下の3要素が知られています。

  • 人目に付かないこと(Visibility)
  • 管理されていないこと(Accountability)
  • 機会があること(Opportunity)

 この3つがそろったとき、人は「普段は善良な人物」であっても、つい誘惑に負けて不正に手を染めるリスクがあります。

 実際に、企業内の情報システムにおけるデータアクセスの現場は、これら3つの要素がすべてそろっています。

  • リモートワークやフレックス勤務で物理的な監視が難しい
  • ログ監視が不十分、もしくはそもそもアクセスログが取れていない
  • 業務上、重要情報にアクセスできる機会が日常的に存在している

 つまり、「うちの社員は善人だから大丈夫」という前提は、このような環境では非常に危険なのです。

 社員を疑うのではなく、社員を”善人”のまま守るためにこそ、「データアクセス監視」が必要です。人は環境に影響される生き物です。不正を起こしやすい環境では、たとえ善意であっても、魔が差す可能性があります。

 そのためには、以下のようなログ監視体制が求められます。

  • 誰が、いつ、どの情報にアクセスしたかを明確に記録(データアクセスログ)
  • 定期的な自動監査によって、不審なアクセスの兆候を早期検知
  • 「見られている」という意識を生むことで、抑止力を高める

 このようなログ監視体制は、性悪説に基づいたセキュリティ対策とも言えます。しかし、それは決して「社員を疑う」というネガティブな思想ではなく、「信頼を持続させるための仕組み」なのです。

社員を守るためのログ監視体制

 性善説に立つ日本の企業文化に対し、BlackBoxSuiteは性悪説的アプローチによるセキュリティを提供します。

 特にWebシステムでは、3階層構造(クライアント/アプリケーション/データベース)によって、誰がどのデータにアクセスしたかを明確に記録するのは非常に困難です。 BlackBoxSuiteは、この課題を解決する独自技術により、以下を実現しています。

  • Webアプリケーション上でのユーザー操作とデータアクセスを紐づけて記録
  • データアクセスログを自動で収集・監査
  • 不正兆候のあるアクセスに対するアラート機能

 これにより、企業は「誰が、いつ、どの情報にアクセスしたのか」を正確に把握できるようになり、内部不正の抑止力を飛躍的に高められます。

BlackBoxSuiteでは、「誰が、いつ、どの情報にアクセスしたのか」を
正確に把握することができます。

Webサイトに公開されていない資料をお
届けしています。
こんな方に最適な資料です。

社内システムのデータアクセスが心配
低コストでログ監査を導入したい方
真の情報漏洩対策を学びたい方

 性善説は日本の美徳であり、それ自体を否定する必要はありません。しかし、企業経営において「信頼」と「監視」は、対立概念ではなく“両輪”です。

 社員を信頼しつつも、万が一に備えた「記録」「監視」「抑止」の仕組みを整えることで、企業と社員の双方を守ることができます。 今こそ、性善説に偏ったセキュリティ運用から脱却し、性悪説に基づいた現実的なリスク対策を講じるタイミングです。善人を犯罪者にしないためにも、企業にはその責任があるのです。

 BlackBoxSuiteは、その第一歩となる“企業の監視カメラ”として、信頼と安全を両立させる最適な選択肢です。

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